5.アルカトラズ
長崎の県立図書館に行って、端島の本をありったけ読んだ。
その中に、強制労働を受けた事があるJさんの話が目にとまった。

記述の中でも一番印象深かったのは
「島にいた頃は自分の影を見た事がない」でした。

それでも端島炭鉱は、他の炭鉱よりずいぶんと待遇が良かったと、
当時の関係者の方から話を伺っている。

朝鮮人同士が喧嘩をしたら、
その上司の日本人が罰せられる条例があったそう。
衣食住まともな生活ができなかったのは、他の強制労働の地でも同じ事。
なのにJさんは、端島にこだわっていらっしゃるように見受けます。

なぜ?

自然あふれる大陸から、無理やり
「もう、あなたは日本人になったのだから日本に来て働きなさい」
と、つれて来られた所が軍艦さながらのコンクリートジャングル。
住むところも働くところも太陽の光を浴びることがない。
草木もなければ、空でさえ切り取られている。
岸壁から海に飛び込んで逃げても、島に残っても【死】しかない。

想像してみた

もし、あの戦争が終わって、日本がアメリカの植民地になっていたら、
「あなたはもうアメリカ人なのだから、今日から英語を使いなさい。
そして、アメリカのために働きなさい」
と言われ、無理やりつれて行かれたところが
脱獄不可能な海の牢獄『アルカトラズ』だったら・・・

Jさんの気持ちが少し解ったような気がする・・・。