7.島の姿
本を出版してたくさんの方から、電話や手紙をいただきました。
どの方もそれぞれに、故郷への思いをつづっていらっしゃいました。
端島には、住んでいた人の数だけ、いえ、
かかわった人の数だけの思い出がありました。

お手紙の中に、
「端島への思いは、住んでいた年数や年齢にかかわらず、みな同じ」
と書いてありました。

明治、大正、昭和の戦前、戦中、戦後復興の20年代、
30年代の最盛期から40年代の衰退期、
そして閉山。

それぞれの時代に生きてきた人の思いが、
あの島にはいっぱいつまっている。

戦時中の端島が本当の軍艦島だと韓国人のJさんはおっしゃっていた。
たしかに、その時代だけは軍艦島と呼ばれても納得できますが、
本当の端島はどれ?と聞かれると、それは誰も答えることはできない。

岩礁の島としてそこにあった時間は計り知れない。
人がかかわってからは、たかだか100年ぐらいの歴史しかない

もし、一番良かった時代はどれ?と聞かれたら、それは
それぞれの人の中にあるのではないでしょうか?