端島(長崎県)の皆さんへ

 あの悲しい閉山から30余年がたちました。行く先も知れず全員離散した後、皆、新しい土地で必死に生きてきたことでしょう。
大切な端島の思い出は、気安く人に語ることなどできないと、私も長いこと思っていました。
 しかし世間からは、軍艦島は『廃墟の聖地』だなどと言われ、ずいぶんと腹立たしくもあり、悲しくもあり、悔しい思いでいっぱいです
 私が端島で生まれて育った思い出は、どれも暖かくて楽しいことばかり。

 『軍艦島グラフィティ』を出版してからは、多くの端島の方たちと知り合うことができました。楽しかったこと、つらかったことなど、それぞれの胸に異なる想いはあるけれど、『心のふるさと』として端島のことを愛していることは、皆同じなのだと感じました。

 今は消えてしまった町だけど、暮らしの中には現代において、欠けている隣人愛や人情がたくさんありました。そして、端島に住んでいた人たちは、大きな船の乗組員のように、今でも心の絆はしっかりと繋がっています。
 「端島を心の宝島として記録を残したい」。それが端島と、端島の人たちに育ててもらった、私からの恩返しだと思って、ささやかながら個人で活動をしています。 
どうぞこのホームページで、端島を公開することをお許しください。 2002年
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